ロゼタイプのお酒というとロゼワインを思い浮かぶ人が多いと思いますが、日本酒にもロゼタイプの酒があります。ロゼタイプの日本酒は、その製法により3つに分類されます。1つは、古代米を用いたもの、2つめは紅麹を用いたもの、3つ目は赤色酵母を用いたものです。色は、淡いピンク色から鮮やかな赤色まで様々なタイプの酒があります。
滝澤酒造では、2016年に発売した「菊泉ひとすじ」の発売後、ロゼタイプのスパークリング日本酒の開発に着手しました。その際、冒頭で紹介した発色方法を検討した結果、香味のバランス等を考慮し、最終的に赤色酵母を選択しました。赤色酵母は、日本醸造協会が開発した酵母であり、赤い色を発色するという性質をもちますが、他の酵母に比べて発酵力が弱いという特徴があります。滝澤酒造では、他のもろみが少なくなる酒造期間の終盤に仕込み、またもろみの仕込み配合を通常のものと変えたり、専用の道具を用いたりするなどして慎重に発酵させました。
ロゼタイプの日本酒のなかには、発泡性を有する酒もありますが、それらのお酒は炭酸ガスを充填しているか、天然発酵由来のガスで濁っているもののどちらかでした。「ひとすじロゼ」は、瓶内二次発酵という製法を用いて天然発酵のガスを瓶に閉じ込め、かつオリを除去した世界初となるロゼタイプの本格的な発泡性日本酒です。オリの除去について2016年に発売した「菊泉ひとすじ」で培った技術を用いました。2018年8月にawa酒協会の認定を受け、2018年11月に発売しました。
「ひとすじロゼ」は、淡いピンク色のお酒で、グラスに注いだ時には、「菊泉ひとすじ」同様に一筋のきれいな泡が立ち上がります。イチゴを連想させる甘美な味わいに加え、口の中で弾ける繊細な泡がまろやかな味わいを引き出します。特別な日の乾杯のお酒として、また食後のデザート酒として最適なお酒です。「ひとすじロゼ」の仕込みを終え、もろみの一次発酵が終わる4月上旬、ようやく半年間の酒造りが終わり今年もほっとした気持ちになります。
大切な人と一緒に、または大切な人へのプレゼントとしてゆったりとした気持ちでこのお酒を飲んでいただきたいと思います。