文久三年創業 滝澤酒造株式会社 菊泉

蔵元杜氏の酒雑記

「菊泉 ひとすじ」の挑戦とawa酒協会

もろみとの出会い

日本酒の原料である米と米麹、これらに水を加えて仕込んだもろみは、日々表情を変えながら、ゆっくりと発酵します。私が最初に酒造りに携わったのは1995年。東京都にある石川酒造で修業させていただき、酒造りの基礎を教わりました。

ある日、もろみの分析をしていると、発酵途中で生じるピリピリとした味わいと口の中で調和する甘味と酸味に驚き、この味わいを何とか製品にしたいと強く思いました。

微発泡純米酒「彩のあわ雪」の発売

1998年からは南部杜氏の指導のもと滝澤酒造で製造技術を磨き、2010年にはこれまでの日本酒のイメージとはまったく異なるタイプの甘酸っぱい味わいの発泡性日本酒「彩のあわ雪」を発売いたしました。この商品は、炭酸ガスを人工的に瓶内に封入するタイプではなく、酵母の発酵による自然の炭酸ガスを閉じ込めた微発泡の純米酒です。これまで日本酒になじみのなかった女性を中心に広がり好評を博しましたが、一方で泡が見えにくい、発泡感が弱いという課題もありました。

「菊泉 ひとすじ」の開発

この課題を克服すべく、彩のあわ雪で培った瓶内二次発酵の技術をもとに、フランスで行われているシャンパンの製造技術にも着目し、その技法を応用して、透明でかつ発泡性の高い日本酒の開発に着手しました。以降は試行錯誤を繰り返しながらも、2016年に、甘味と酸味の調和を残しつつ、発泡性を高めた商品の開発に成功しました。

グラスに注いだときに生じるひとすじの泡、その泡が醸し出す上品でまろやかな味わい、そして酒造りに情熱を注ぎ、挑戦し続ける蔵人たちのまっすぐな思いを感じていただければと思います。

awa酒協会の発足

「菊泉 ひとすじ」の開発をしていた2014年、群馬県にある永井酒造㈱の永井則吉氏から、発泡性日本酒の協会を作りたいという相談を受けました。すでに瓶内二次発酵による透明な発泡性純米酒を製造している永井氏は、世界に通用する日本酒を造りたいという想いをもっておりました。永井氏は「米の魅力を我々の持つ技によって追求した結果、それが従来の日本酒造りの固定観念を覆すことがあってもいいのではないか」と考えていました。「瓶内二次発酵で透明な泡が踊るスパークリング日本酒」を、日本の文化として世界に伝えていきたいという彼の熱い想いに、私は大いに共感しました。その後、その想いに賛同する全国の酒蔵8社で組織する一般社団法人awa酒協会を2016年11月1日に設立することになりました。

awa酒協会の今後の活動

awa酒協会では、awa酒の認定基準として以下のような厳格なルールを定めています。

  • 1. ⽶、⽶こうじ及び⽔のみを使⽤し、⽇本酒であること
  • 2. 国産⽶を100%使⽤し、かつ農産物検査法により3等以上に格付けされた⽶を原料とするものであること
  • 3. 醸造中の⾃然発酵による炭酸ガスのみを保有していること
  • 4. 外観は視覚的に透明であり、抜栓後容器に注いだ時に⼀筋泡を⽣じること
  • 5. アルコール分は、10 度以上であること
  • 6. ガス圧は20℃で3.5 バール(0.35 メガパスカル)以上であること

このような基準を設けることで、awa酒をシャンパン、カヴァなどのようなスパークリングワインと肩を並べるレベルに引き上げていきたいと私たちは考えています。私たちの当面の目標は、わが国で今後行われる国際的なスポーツイベント等で、awa酒が乾杯に使われる酒になることです。今後、協会に賛同する酒蔵を募り、多くの仲間とともにawa酒を世界に広めていきます。

ここで一句

ひとすじの 泡が奏でる シンフォニー