大吟醸の仕込み 酒母の巻

 
 酒母用の麹ができ上がると、酒母を造ります。酒母の役割は、純粋で優良な酵母を大量に培養することです。酵母とは、アルコールを生成する微生物です。
 タンクの中では、麹が蒸米に含まれるデンプンをブドウ糖に分解(糖化)し、酵母はブドウ糖をアルコールと炭酸ガスに分解(発酵)します。
 次の工程のもろみ造りでも同様ですが、日本酒造りおいては、一つのタンクのなかで糖化と発酵が同時に起こるのです。これを、並行複発酵といい、高濃度のアルコールを生成するのに最良の方法なのです。
 大吟醸の酒母造りでは、仕込み量が少なく、使用する麹の酵素力を意図的に低く抑えるため、酒母の温度が急激に下がらないよう、細心の注意を払わなければなりません。


 酒母仕込み初日、タンクの中に水と麹と酵母、乳酸を加えます。

 米が蒸し上がると、蔵に広げて、蒸米を目標温度まで冷まします。蒸米が冷えたら、タンクに投入し、麹と蒸米が均一になるよう、手で撹拌します。

 仕込み8時間後にも、同様に、万遍なく手で混ぜ合わせ、麹がデンプンを分解しやすい状態にしてやります。

 仕込み3日目から、暖気樽(だきだる)という60度から70度くらいのお湯を入れた容器を酒母の中に入れ、ときおりゆっくりと回します。

 暖気樽を入れることで、温度が徐々に上がり、糖化と発酵が順調に進むのです。

 暖気樽は通常、1日に1本入れます。このとき、温度が下がらないように、タンクの外側に保温マットを巻きます。

 仕込み7日目には、発酵が旺盛になり、高泡を形成してきます。

 この状態で櫂棒で激しく撹拌してしまうと、発酵が止まってしまうこともありますので、酵母が驚かないようゆっくりと櫂を入れてやります。

 また、このまま発酵を続けると、酵母が疲れてしまいますので、ある程度、発酵が旺盛になった段階で、保温マットを外し、酒母の温度を下げてやります。

 仕込み11日目、酒母の完成です。

 出来上がった酒母を別のタンクに移します。翌日には、このタンクに水、麹、蒸米を入れ、もろみの仕込みを行います。

 ちなみに、このときの酒母の成分は、アルコール分11%、酸度5.5、ボーメ度6.3(日本酒度−63)です。

 



次回はもろみ造りを紹介します。

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