大吟醸の仕込み 麹の巻

 
21世紀最初の大吟醸の仕込みが始まりました。1年間で1番寒いこの時期は、酒造りにとっては絶好の季節です。手足が凍るような寒さと、大吟醸にかける蔵人のすさまじい緊張感のなかで、身も心も引き締まります。
 酒造りにおいて、最も重要な工程は麹造りです。麹の主な働きは、麹のもつ酵素により米のデンプンをブドウ糖に分解することなのですが、酵素力が高すぎると雑味のもとにもなってしまいます。
 そこで、大吟醸の麹は、酵素力があまり高くならないように、じっくりと丁寧に面倒を見てやらなければなりません。


 午前8時、蒸しあがった米を、麹室の前で麻布に広げ、手でもみほぐします。予定温度に下がるまで何度も、寄せては広げます。

 予定温度に下がったら、麹室に引き込み、蒸米を机の上一面に広げます。机のうえでも、温度が均一になるよう、さらにもみほぐし、種麹(麹菌)を万遍無く振ります。
 振り終わったら、温度が下がらないよう、蒸米を高く積み上げ毛布を何枚もかけてやります。夕方には、再び蒸米をほぐし酸素を供給してやります。

 翌朝、6時麹菌が繁殖しやすいように、蒸米をこするようにして、1粒1粒丁寧にもみます。 ただ、時間をかけすぎると蒸米の温度が下がってしまうので、作業は素早く行います。

 十分にもみほぐしたら、約15kg単位に分け、箱に移します。このとき、1粒たりとも箱からこぼしてはいけません。大事な大事なお米ですからね。

 箱の上で平らにし、布をかぶせます。その後、数時間ごとに手を入れ、ゆっくりと温度を上げ、米の水分を蒸発させてやるのですが、手を入れるタイミングを誤ると、麹菌の繁殖が止まってしまうこともあるのです。
 このため、杜氏や麹担当者は、夜通し麹菌の面倒を見てやるのです。

 麹室に入れてから56時間後、米の内部には粉雪のような白い麹菌がきれいに繁殖しました。
 麹を室から出し、蔵の中に薄く広げ熱を冷ましてやります。次の日には、この麹を使って酒母やもろみが仕込まれるのです。



次回は酒母造りを紹介します。

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